第1版

仮組み

いろんな色の羽を持つイロトリドリのお話です

普通の色の羽を持つパパドリとママドリのあいだに

ひょんなことから

イロトリドリが生まれてきました。

生まれてきたときはどろどろで

色が混じっていて

この子は悪魔の使いかもしれない!

とみんなから恐れられました。

しかし、

成長して行くにつれ

羽はきれいに伸び

とてもさらさらで

みんながうらやましがるほどになりました

パパドリもママドリも最初は嫌いだった

イロトリドリのことを

好きになりました

イロトリドリは

とてもうれしく

毎日いろんなところを飛び回っていました

とても自由にのびのびと。。。

そんな

イロトリドリには

友達もたくさんでき

いつも笑顔が絶えませんでした

イロトリドリはいつか大きくなったら

もっとたくさんの人を笑顔でいっぱいにしたいと思うようになりました。

あるとき

ママドリが

近くに住んでいるママドリたちに

イロトリドリの自慢話をしていました

それを聴いたイロトリドリは自信満々有頂天になりました

それからのイロトリドリは

いつも自分の自慢話ばかりするようになり

大好きだった友達の話をきくのをやめ

自分の話ばかりするようになりました

そんなイロトリドリから

友達はどんどん離れていきました

すると

イロトリドリはどうしてこんなにきれいな羽を持っているのに

自分のことを大切にしてくれないんだと怒り狂うようになりました

それどころか

自分がこんな目に遭うのは

この羽が原因なんだ!とママドリとパパドリを責め

ママドリもパパドリも

そのことが原因で

毎日喧嘩するようになりました

ママドリは病気になってしまい

パパドリは狩りで人間に捕まり帰ってこなくなりました。

それがショックで

イロトリドリの羽が抜け始めました

自慢だった羽が抜け始めて

だんだんそれが目立ってきた頃。。。

イロトリドリのかつての友達の赤鳥ちゃんから

こんなことを言われました

あなたはその羽がなくなると何のいいところもなくなるのね

あなたはその羽が全部なくなったらなんていう名前の鳥になるの?

などなど

イロトリドリはとても傷つきました

この羽がなくなると

自分には何の取り柄もなくなってしまう

自分が自分でさえなくなってしまう

自分はとてもだめなトリなんだと

立ち直ることができません

そうこうしているうちに

イロトリドリの羽は

もう残りわずかです

こんな姿

誰にも見られたくない

どこか遠くに行ってしまおう

そう思い

イロトリドリは

旅立ちます

高く高く

誰もいないところまで

高く高く

飛びました

そこで

イロトリドリは青色の羽を落としました

すると。。。

青色の羽は空に溶け込み

空の主が現れました

やあ、イロトリドリ

君に会いたかったよ

君の羽には不思議な力があるんだ

それは、君の羽を拾ったものは一番必要なものに気づくことができるんだ

そう。。。

わしの大切なものは雲だったんじゃ!

いつも喧嘩ばかりだがの。。。

なかなかそれに気づかずにいた

いくつもの雲を気に食わんと言って吹き飛ばしてきたことか。。。

雲がなけりゃ

話す相手もおらんくての

話を聞いてもらえるっちゅうのはありがたいことじゃのう

話してばかりじゃだめだったんじゃ

相手の話もようときかんとの。。。

会話っちゅうもんは

キャッチボールよ。へへん

君にはそれができとったか?

イロトリドリは

力なく首を横に振りました。。。

まてまて

落ち込むでない

わしも気づかんかった

羽を拾うまでは。。。

きみが気づかせてくれたんじゃ

わしはこれからやり直すきっかけがつかめた

ありがとうよ

イロトリドリ

そして空の主は優しく雲を呼び寄せました。。。

そっと語りかけ空と雲は楽しそうにお話を続けていました。

イロトリドリはすこしあたたかいきもちになっていました。

ずいぶんと飛んできたので少し疲れてしまいました。

どこか止まるところはないかな。。。

とてもとても高いところなのでなにも見当たりません。。。。

すると、また一枚羽がぬけ、今度は雲に溶けこみ

雲さんがひょっこり顔を出しました

はろー、イロトリドリ

ぼくに止まって少し休んだら?

そういってくれたので

イロトリドリは休むことにしました。

さっき、そらと話していたね

ぼくにはねがおちてきた!

とてもうれしいよ

わかったんだ

やっと

ぼくに必要なもの

ちり、つまりごみさ。

ぼくには生まれたときから

大切な役目があるんだ

それは雨を降らすこと

ぼくたちはゴミにぶつかると傷つく

そうやって成長する

大きくなるんだ

ゴミなんて嫌いだけど

できれば

傷つきたくない

だけど

雨が降らないと

いのちはつながっていかないんだ

とっても

大事な役目なんだ

大切ないのち

大切な仲間

そして

じぶんを成長させてくれるゴミ

君には

大切な仲間がいるかい?

傷ついても大切にしたいとおもえる仲間がいるかい?

逆に、自分が傷ついてまで大切にしてくれる仲間がいるかい?

そして自分を成長させてくれる何かがあるかい?

イロトリドリははっとしました

ママドリとパパドリです

自分のことが原因でいっぱい喧嘩させてしまった

病気にさせてしまった

人間に狩られてしまった

イロトリドリは涙を流しました。

雲さんは言いました。

君、いい仕事したね。

ぼくには一生かけてする役目を今やったんだ

その涙はほかのいのちをつなげる

きっと君のママドリやパパドリのもとにとどいているよ

ぐっじょぶ!

さあ、ぼくもしっかり役目を果たそう

雨が降るんだ!

いのちが芽生える

わくわくするね☆

ぼくもついていっていいかな? と イロトリドリ

もちろんさ!

かもーん

そうして

雲はあめになり

地上に降り注いでいきました

雨に濡れながら

イロトリドリも急降下です

イロトリドリは疲れのあまり意識を失ってしまいました

気づくと

木に引っかかっていました

そこで緑の羽をおとしました

羽は葉っぱに溶け込み葉っぱさんが話し始めました

こんにちは、イロトリドリ

大丈夫?

ずいぶんつかれているようだけど。。。

うん

だいじょうぶ

ありがとう

心配してくれてるんだ。。。

あら?

なんだか素直になったのね^^

ふふ

わたしの一番必要なもの

わかる?

なんだか当たり前すぎて

自分でもとっても自覚しているから

ちょっと気が抜けちゃった

でも、なんで必要なのか

考えるいいきっかけになったわ

当たり前すぎて気づかない事って多いものね

考えようとしないのね

あたりまえだからって

それは何の理由にもならないのにね

当たり前のことを当たり前だって何も考えずにそのままにしておくのって

ちょっとこわいわね

大切なことに気づけなかったり

みんながしてるから何も考えずに同じコとして

意味のないことから

大事な誰かを知らずに傷つけたりすることまで

いろいろあるけどね。。。

あら、、、ごめんなさい^^;

前置きが長くなっちゃって

私に必要なもの。。。

それはひかり

成長していく方向を指し示してくれる

正しい方向に向かうよう

導いてくれる

そう。

だから、何も考えずについてっちゃだめなの

もしかしたらその光は

とっても強く明るいものだけれどもうすぐ切れてしまう蛍光灯の明かりかもしれないじゃない

ちゃんとした

最後まで頼れる光なのか

自分で考えてついて行かないとね

みんながそっち行ってるからってついてっちゃったら

混雑してて

しかもその光広い範囲をてらせなかったりするってこともあるんだから。。。

自分で考えて行動する

自分で行動した責任は自分でとる

これ大事ね

取り返しのつかないこともあるけれど。。。

私もね一度失敗してるの。。。

ただぼーっと光の方へ進んでたら

友達の葉っぱと絡んでしまって。。。。

生きるか死ぬかって事になっちゃったの。。。

私は生きたいばかりにぐんと背伸びしちゃったの。。。

そしたら友達おれちゃった。。。

そう。。。。

私のせい。。。

生まれてからずっと一緒だったのに

とっても仲がよかったの

私の何にも考えずにした自分勝手な行動で

取り返しのつかないことしちゃった

後悔してもしきれないわ

友達を失って

生きる気力がなくなったの

水を吸い上げる力もなくて、

光さえ私にはまぶしくて耐えられなかった

そうやって過ごしていくと

どんどんしなびていって

ほかの絡まりそうだった葉っぱとも離れて

ちょっと

きもち楽になったわ

ああ、これでもうほかの葉っぱを傷つけなくてすむ

もう力もなくて地面に這いつくばってた。

でもね、、、

何も考えてなかったらまた誰かを傷つけるの

何もしてないと思ってても知らないうちに傷つけちゃうの

わたしが這いつくばってた下に種が落ちててね

双葉さんが苦しそうにもがいてた。。。

でも、早く気づいてよかった

なんとか助かったの

それで、このままじゃいけないって思ったのよ

こんなコとしてたらまた知らないうちにだれかを

傷つけてしまう

そんなのもういや。。。

だから、私はまた起き上がることにしたの

私はどこに向かって伸びていくのがいいのか

ちゃんとじぶんで考えていこうって決めたの

みんなと一緒じゃなくていい

わたしがいる場所

いてもいい場所

きっとどこかにあるはずだって

そう信じてる。

そして、もう背伸びはしない

そう決めたの。

大切なこと思い出したわ。

ありがとう

イロトリドリ

イロトリドリは優しく降り注ぐ光の中で

葉っぱさんの笑顔につつまれていました

イロトリドリは

黄色の羽を落としました。

羽は光に溶け込み光の妖精があらわれました

光に必要なものなんてあるのだろうか。。。

そんなふうに考えながら

イロトリドリは

光の中にいました

すると

イロトリドリは

自分がどこにいるのか

わからなくなってきました

そう

イロトリドリは

光に必要なものに気づきました

かげ。。。

そんなことを考えていると

光の妖精は

イロトリドリの考えを見抜いたかのように

イロトリドリ。

成長したのね。。。

と優しく声をかけました

イロトリドリは

とてもびっくりしました

その声は

ママドリの声です

イロトリドリ。。。

ずっとみていたよ

頑張ってここまで来たね

あと少し

頑張れるね。。。?

光にはどうしてかげが必要だと思う?

自分がわからなくなるから?

うんうん。。。

それでいいよ

ものごとにはいい面と悪い面の両方があるんだ

明るい面と暗い面

光と影

切っても切り離せない

二つあって一つなんだよ

一方だけを見るのはそのものを見ていることにはならないんだよ

私もかつておまえのことをきちんと見ることができていなかったね

それがすべての始まりだったのかもしれない。。。

いい面ばかりを見ようとするとすべてが見えなくなるものなんだね

だから、いろんな面があっていいんだよ

それをきちんと見つめることが

自分であること

相手のいろんな面をみる事が

相手と向き合うということなんだよ

友達から投げかけられた言葉はおまえの一面しか見ていやしなかったかい?

そのときおまえは友達に対してどういう態度で接していたかい?

自分のいい面しか見ていやしなかったかい?

友達はそんなおまえを見かねていったんだよ。。。

どうして友達は離れていったと思う?

どうして友達は離れていく前はおまえと仲良くしてくれてたとおもう?

ぼく。。。

自分のことしか考えてなかったんだ

羽のことしか考えてなかったんだ

ぼく。。。

友達と遊ぶの楽しかったんだ

いろんな話したり

いっぱい飛び回ってたのしかったんだ

みんなの笑顔がうれしかったんだ

ほんとは

それだけ。。。んーんそれで充分だったのに

欲張りしたんだ

だから

だから。。。。

なみだが止まりません。

ママドリもパパドリも

ぼくのもとからいなくなっちゃった

ぼくが

欲張りしたから

僕のせいなんだ

こらイロトリドリ!

また一方だけをみているよ。。。

失敗は誰にでもあるんだ

失敗から何を学ぶかが大事だんだよ

そうか。。。

ぼくは大きな失敗をしてしまった

でも、このたびで

いろんな事を学んできたんだ

これから忘れないようにしないといけないんだ

さあ。

イロトリドリ最後何色の羽が残ってる?

あ。。。

黒だ!

かげの色。。。

イロトリドリは自分で最後の一枚を抜き取り

自分の影に落としました。。。

自分の影がひょっこり顔を出しました。。。

やあ!

さあ、君は今なにものかい?

羽は一枚もついてないよ?

いいところは一つもないかい?

きみに必要なものはその答えだろ???

イロトリドリは

ほっとしました

すべて答えが見つかっています。。。

ぼくはぼくだ。。。

イロトリドリはただの名前

大切なのは名前じゃない

僕自身なんだ

羽あってもなくても

いいところもあるし悪いところもあるんだ!

ぼくはぼくでいいんだ。

そうはっきりと答えられます。

でも、ぼくに必要なものは

これだけじゃない。。。

僕に必要なものは

仲良くしてくれていた友達の喜ぶ顔

みんなが仲良くしてくれていたのは僕の羽がきれいだったからじゃないんだ。。。

ぼくがこころから楽しく過ごしていたから

みんなも楽しかったんだ

羽は一枚もない

みんなには嫌われてる。。。

もう仲良くしてくれるのかわからない。。。

だけど、

僕は

僕の生きる場所で

また自分らしくのびのび生きたい

みんなと笑って過ごしたい

だから、すべてさらけ出して

友達と向き合いたい

こんなぼくだけど

こんなぼくだから

一緒にいて楽しいって言ってくれる仲間

ずっとさがすんだ

そう言いながらイロトリドリは

目を真っ赤にはらしながら泣き続けました。

気づくと真っ赤な夕焼け空です

数羽のトリたちが楽しそうに飛んでいます

イロトリドリは見つけました

その飛んでいる数羽のトリたちは

かつて自分が仲良くしていた友達です

勇気を出して今までのこと謝ろう!

そう決意しました。

するとよーくみると

そのトリたちは

こちらへ向かって飛んできています

何か持って。。。

かつての友達に再会したイロトリドリ

今までのことを謝りました

そして今回の旅で気づいたことを伝えました

どんなに友達が大切かということを。。。

そんなイロトリドリの変わり様を見て

かつての友達は再びイロトリドリの大切な友達もどりました

イロトリドリは絶対に友達を大切にしていこうと心に決めました

イロトリドリの

だいすきだった赤鳥ちゃんから

今日の夕暮れと同じ色の赤い羽をもらいました

それは

かつてイロトリドリが赤鳥ちゃんの前で落とした

赤い羽根でした

イロトリドリは君はこの赤い羽を拾って

何が自分に必要なのかわかったの?

とイロトリドリは尋ねました

うん。わかったよ

だから今ここにいるの。

私にはあなたが必要よ

イロトリドリ君の落とした羽を見て

気づいたの

あなたがどんなに孤独かを

自分の唯一信じているもの

大切にしているものがなくなっていく

そうなんだ。。。

僕は焦っていたのかも。。。

それと同時に

唯一信じていたものが

どんなにはかないものか。。。

それによって

多くのものを失いつつある

あなたのの心の痛みに気づいたの

意地悪言ったけど

そのことに早く気づいてほしかったの

でも、言い方が悪かったわ

ごめんなさい

嫌われてもあなたにこの思いだけはどうしても伝えたかったの

誤解はきちんと解いておかなくちゃ

すれ違ったまま離ればなれなんて嫌だわ

そういって

赤鳥ちゃんはイロトリドリに赤い羽を渡しました。

赤鳥ちゃんと同じ

今日の夕日と同じ

真っ赤な

赤色の羽です

数ヶ月後。。。。。

ぴよぴよ。。。ぴーぴー

新しいいのちの誕生です

どんな羽を持ったいのちがうまれてくるのでしょう

それは

生まれてからのお楽しみ。。。。。。